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老後の夫婦の生活費内訳は?平均額や持ち家・賃貸の違い、必要な老後資金を解説

老後 夫婦 生活費内訳

「老後の夫婦の生活費は、内訳でいくらかかるのだろう?」
「年金だけで足りるのか、貯蓄はいくらあれば安心なのか分からない…」

このような疑問をお持ちではありませんか。

総務省の家計調査(2025年平均)によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の消費支出は月263,979円です。税金と社会保険料の32,850円を加えると、実際に出ていくお金は月296,829円です。収入は月254,395円で、毎月およそ4.2万円が足りません(2026年10月時点)。

そこで本記事では、以下の内容を自分たちの数字で確かめられるように詳しく解説します。

  • 食費・住居費・医療費など、費目別の生活費の内訳
  • 持ち家(ローン完済・ローン残)と賃貸での生活費の違い
  • 生活費とは別に備えておきたい、修繕・医療・介護・葬儀の費用
  • 年金で足りない金額の計算方法と、不足を埋める備え方

ご自身の家計に置き換えながら、ぜひ参考にしてみてください。

目次

老後の夫婦の生活費はいくら?平均額と支出の内訳

出発点は、国の統計の平均額です。ここでは家計調査の「夫婦高齢者無職世帯」(65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の2025年平均を使い、5つの区分に分けて見ていきます。

区分月額消費支出に占める割合
食費・日用品費95,555円36.2%
住居費・水道光熱費41,279円15.6%
保健医療費・交通通信費49,266円18.7%
教養娯楽費・交際費49,795円18.9%
その他(諸雑費・仕送り金など)28,084円10.6%
消費支出 計263,979円100%
税金・社会保険料(別枠)32,850円―

引用:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」(家計調査の費目を筆者が合算)

世帯主の年齢別に見ると、二人以上の無職世帯の消費支出は65〜69歳が296,997円、70〜74歳が285,844円、75歳以上が248,460円です。年齢が上がるほど、支出は減っていきます。

区分は、次の5つです。

  1. 食費・日用品費
  2. 住居費・水道光熱費
  3. 保健医療費・交通通信費
  4. 教養娯楽費・交際費
  5. 税金・社会保険料

食費から順に、税金・社会保険料まで見ていきます。

食費・日用品費

食費は、夫婦の生活費で最も大きな費目です。食料は月78,964円で、消費支出の29.9%を占めます。

これに家具・家事用品の11,237円と、被服及び履物の5,354円を足すと、食費・日用品費は月95,555円です。消費支出の3分の1強にあたります。

この費目は、年金生活に入っても急には減りません。毎日の買い物が積み重なるため、値上がりすれば、そのまま家計に響きます。

外食や食材にこだわる夫婦は、平均を超えると見ておいたほうが安心です。まず自分たちの食費を1か月分、レシートで数えてみましょう。平均との差がわかれば、生活水準を保てる範囲が見えてきます。

住居費・水道光熱費

住居費は月17,739円、光熱・水道は月23,540円で、合わせて41,279円です。

住居費が小さいのは、持ち家の世帯が大半だからです。二人以上の65歳以上無職世帯の持ち家率は、65〜69歳で94.3%、70〜74歳で94.8%、75歳以上で96.0%にのぼります。

注意したいのは、持ち家の固定資産税が、この住居費に含まれない点です。家計調査では、税金の側(非消費支出)に分類されます。

「住居費は月1.8万円で済む」と読むのは危険です。賃貸なら家賃が上乗せされ、持ち家でも税金と修繕費が別にかかります。光熱・水道は季節で上下し、エネルギー価格の影響も受けます。

保健医療費・交通通信費

保健医療費は月17,941円(6.8%)、交通・通信費は月31,325円(11.9%)で、合わせて49,266円です。

交通・通信は、食料に次いで大きな費目です。自動車関係費や携帯電話などの通信費が入ります。車を手放すか、スマートフォンの料金プランを見直すかで、動かしやすい部分でもあります。

保健医療は、通院の自己負担や市販薬、健康食品といった日常の医療費です。入院や手術のようなまとまった負担は、平均の生活費には表れにくいものです。そうした一時的な費用は、後半の章で別に扱います。

教養娯楽費・交際費

教養娯楽費は月26,538円(10.1%)、交際費は月23,257円(8.8%)で、合わせて49,795円です。

交際費は、世帯の外の人に対する贈答や接待の支出をまとめた費目です(総務省統計局)。知人や親族への贈り物の分が、ここに入ります。

つまり、日常的な付き合いの支出は、平均の生活費にすでにある程度含まれています。あとで特別な費用を足すときは、二重に数えないように気をつけましょう。

旅行や趣味に力を入れたい夫婦は、平均に上乗せして考えておくと安心です。上乗せの目安は、次の章で示します。

税金・社会保険料

年金生活でも、税金と社会保険料の支払いは続きます。夫婦の非消費支出は月32,850円で、内訳は直接税が12,547円、社会保険料が20,296円です。

収入との関係を整理しましょう。実収入は月254,395円で、うち社会保障給付(公的年金など)が228,614円と、収入の89.9%を占めます。

税金と社会保険料を引いた可処分所得は221,544円です。消費支出の263,979円には、42,434円届きません。

この差額が、毎月の不足額の平均です。貯蓄の取り崩しなどで埋めます。年金額を「額面」で見ていると、手取りとの差で計算が狂います。生活費を考えるときは、税金と社会保険料を先に差し引いた金額で比べてください。

ゆとりある老後の夫婦の生活費は?最低限・平均との違い

平均の生活費は、旅行や趣味に十分なお金をかけた暮らしではありません。「ゆとりある老後」に、いくらの上乗せが必要なのかを調査で確かめます。

生命保険文化センターの調査(2025年度)では、夫婦2人の老後に必要と考える最低日常生活費は月平均23.9万円でした。ゆとりのための上乗せ額は平均15.2万円で、合計したゆとりある老後生活費は月平均39.1万円です。

区分月額位置づけ
最低日常生活費23.9万円夫婦2人の老後に必要と考える額(意識調査)
実際の消費支出(平均)26.4万円家計調査の実績。税・社会保険料は別に3.3万円
ゆとりある老後生活費39.1万円最低日常生活費+上乗せ額15.2万円(意識調査)

引用:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2025年度)、総務省統計局「家計調査」(2025年)

上乗せ額の使いみちは、旅行やレジャー(59.5%)、日常生活費の充実(50.1%)、趣味や教養(47.9%)、身内とのつきあい(43.1%)の順です。

ただし、2つの調査は性質が違います。生命保険文化センターの数字は「必要だと考える金額」を尋ねた意識調査で、家計調査は実際に使った金額です。表の数字を単純に並べて、優劣はつけられません。

判断の目安は、旅行や趣味の予定があるかどうかです。年に数回の旅行を続けたいなら、平均より上を前提に資金を組みます。暮らしを縮める予定がないなら、平均の26.4万円を土台にしてください。

老後の夫婦の生活費を住居形態別に比較

家計調査の平均は、持ち家の世帯が大半の数字です。賃貸の暮らしは、平均にほとんど表れていません。住まいの形で生活費がどう変わるかを、3つに分けて整理します。

住居形態毎月の住居関連の支出年単位・不定期にかかる費用
持ち家(ローン完済)小さい(平均の住居費は月17,739円)固定資産税、火災保険料、修繕費
持ち家(ローン残)完済済みの世帯の支出に、返済額が加わる同上
賃貸家賃が加わる更新料、引っ越し費用

住まいの形は、次の3つです。

  1. 持ち家で住宅ローンを完済している場合
  2. 持ち家で住宅ローンが残っている場合
  3. 賃貸住宅に住んでいる場合

持ち家のローン完済から順に比べます。

持ち家で住宅ローンを完済している場合

ローンを払い終えた持ち家は、毎月の住居費が最も小さくなります。家計調査の住居費が月17,739円にとどまるのも、この形の世帯が大半だからです。

ただし、住居費がゼロになるわけではありません。

  • 固定資産税・都市計画税(毎年)
  • 火災保険料・地震保険料
  • 設備や外壁、屋根の修繕・取り換え
  • マンションの場合は、管理費と修繕積立金(毎月)

家計調査では、固定資産税は住居費に入りません。消費支出の外側にあるお金です。築年数が進むほど、修繕の備えは厚めにしておきたいところです。

固定資産税や管理費の金額は、別の記事を参照してください。本記事では、修繕・リフォームを後の章で扱います。

持ち家で住宅ローンが残っている場合

定年後もローンが残ると、毎月の返済額が生活費に上乗せされます。家計調査では、借金の返済は消費支出に含まれず、借金の利子は非消費支出に入る扱いです。

つまり、先に示した月263,979円の外側に、返済額が別にかかります。返済額が月8万円なら、消費支出に返済を足すと月34万円を超える計算です。

退職金で完済するか、返済を続けるかで、手元に残る資金は変わります。完済すれば生活費は軽くなりますが、手持ちの現金が一気に減り、医療や介護の備えが薄くなります。どちらが合うかは、年金額と貯蓄の水準しだいです。

返済が65歳以降まで続く場合は、とくに慎重に試算しましょう。年金収入が、返済と生活費の両方を支えきれるかを確かめておきます。

賃貸住宅に住んでいる場合

賃貸の場合、老後も家賃が毎月の生活費に加わります。平均の消費支出263,979円に、家賃を足して考えるのが現実的です。

仮に家賃が月7万円なら、毎月の支出は約33.4万円です。年に換算すると84万円の家賃を、年金から払い続ける形です(家賃7万円は説明用の仮の数字です)。

固定資産税や大規模修繕の負担がない点は、賃貸の強みです。一方で、更新料や、住み替えが必要になったときの費用、家賃の値上がりへの備えは、持ち家にない負担です。

持ち家の夫婦と同じ年金額でも、賃貸だと不足額は大きくなります。老後資金を計算するときは、家賃を含めた金額で試算してください。

老後の夫婦が生活費とは別に備えておきたい費用

平均の生活費には、まとまった一時費用が含まれにくい傾向があります。修繕、入院、介護、葬儀の4つは、生活費とは別枠の貯蓄から払う前提で考えておきます。全員に起きるわけではありませんが、起きたときの額は大きく、家計への影響は小さくありません。

備える費用は、次の4つです。

  1. 自宅の修繕・リフォーム費用
  2. 入院・手術などの臨時医療費
  3. 介護サービス・介護施設の費用
  4. 葬儀・冠婚葬祭の費用

修繕から順に、金額の目安を確認します。

自宅の修繕・リフォーム費用

持ち家に住み続けるなら、修繕とリフォームの備えが要ります。国土交通省の住宅市場動向調査では、令和5年度にリフォームを行った世帯の資金の平均は137万円でした。

前年度の調査は206万円で、年度によって大きく動きます。いずれも築年数や工事の規模を問わない平均です。

築年数が進むと、給湯器、水回り、屋根、外壁などの更新時期が近づきます。工事の内容と住宅の規模で費用は大きく変わるため、平均の137万円は目安にとどめてください。段差の解消や手すりの設置といった介護を見据えたリフォームは、介護保険の住宅改修の対象になる場合があります。

見積もりは複数の業者から取り、優先順位をつけて実施する時期を分けます。数年に分ければ、一度の出費は抑えられる計算です。修繕費の分は、生活費の貯蓄とは別に確保しておくと、取り崩しの計算が崩れません。

入院・手術などの臨時医療費

入院や手術で医療費が高額になっても、高額療養費制度で1か月の自己負担には上限があります。上限額は、年齢と所得に応じた区分で決まる仕組みです。

この制度は、令和8年(2026年)8月に上限額が見直され、令和9年(2027年)8月にも見直しが予定されています。70歳以上の外来には、月ごとの特例上限に加えて、年間の上限もあります。正確な上限額は、加入先の健康保険や厚生労働省の案内で、自分の所得区分を確かめてください。

対象外の費用もあります。差額ベッド代や、入院中の食事代などは、高額療養費の対象になりません。

年齢で区分が変わる点にも注意が要ります。70歳未満と70歳以上では、上限額の仕組みが異なるためです。60代のうちに入院した場合と、70代以降に入院した場合では、自己負担が変わります。

制度の改正は続いています。公開時点の数字ではなく、実際に使う時点の最新の上限額を確認しましょう。

介護サービス・介護施設の費用

介護の費用は、生命保険文化センターの調査(2024年度)で、一時的な費用が平均47.2万円です。住宅改修や介護用ベッドの購入などにあたります。

月々の費用は、平均9.0万円です。在宅が5.3万円、施設が13.8万円と、2倍以上の差があります。介護の期間は平均55.0か月(4年7か月)で、4年を超えた人が約4割でした。

一時費用と、月額に期間を掛けた額を足すと、47.2万円+9.0万円×55か月=542.2万円です。これは調査の数値そのものではなく、平均値をもとにした試算です。費用には、公的介護保険サービスの自己負担分が含まれています。

調査の対象は、過去3年間に家族や親族の介護を経験した人です。夫婦のどちらか、または両方が介護を受ける可能性を考えると、この金額が2人分になることもあります。

葬儀・冠婚葬祭の費用

葬儀の費用には、公的な統計がほぼありません。民間の調査を目安にするのが現実的です。

鎌倉新書の「お葬式に関する全国調査」(第7回・2026年)では、葬儀費用の総額は96.73万円でした。直近2年以内に喪主を経験した40歳以上の2,000人へのインターネット調査です。

内訳は、基本料金が72.02万円、飲食費が11.67万円、返礼品費が13.03万円です。この内訳に、僧侶へのお布施は入っていません。形式では、家族葬が47.0%で最も多く、一般葬が30.2%、一日葬が11.9%、直葬・火葬式が10.8%と続きます。

自分たちの葬儀だけでなく、親世代の葬儀も視野に入る年代です。ただし、知人や親族への贈答といった日常の付き合いは、家計調査の交際費(月23,257円)に含まれています。ここでは葬儀そのものの一時費用だけを、別枠で見ておけば十分です。

夫婦の年金で老後の生活費は足りる?不足額の計算方法

ここまでの数字を、自分たちの年金と貯蓄に当てはめる段階です。不足額は、毎月の支出から毎月の収入を引いて求めます。その額に老後の年数を掛け、手持ちの資産と比べる流れです。

確認する項目は、次の2つです。

  1. 夫婦の年金受給見込み額と毎月の生活費を確認する
  2. 必要な老後資金と保有資産を比較して不足額を求める

年金の見込額から順に、不足額の計算まで進めます。

夫婦の年金受給見込み額と毎月の生活費を確認する

最初に、年金の見込額を確かめます。目安になる公的な数字は、次のとおりです。

指標月額
国民年金(満額・1人分)令和8年度70,608円
モデル年金(夫婦2人分の基礎年金を含む)令和8年度237,279円
厚生年金(第1号)の老齢年金の平均 令和6年度末151,142円
国民年金の老齢年金の平均 令和6年度末約5.9万円
家計調査の夫婦高齢者無職世帯の社会保障給付228,614円

引用:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」、厚生労働省「令和8年度の年金額改定」、総務省統計局「家計調査」(2025年)

モデル年金は、平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間就業した場合の、老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)の水準です。実際に受け取る夫婦の割合を示す数字ではありません。夫が厚生年金の平均(15.1万円)、妻が国民年金の平均(5.9万円)だと仮定して足すと約21.0万円で、モデル年金より低くなります。

自分たちの見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。

ここで見落としやすいのが、60歳で退職して年金を65歳から受け取る場合の空白期間です。65歳からの年金額だけで計算すると、60〜64歳の5年間の生活費が抜け落ちます。

再雇用などの収入で埋めるか、貯蓄から出すかを、先に決めておきましょう。なお、本記事の家計調査の数字は65歳以上の世帯が対象で、60代前半にはそのまま当てはまりません。

必要な老後資金と保有資産を比較して不足額を求める

不足額は、次の式で求めます。

毎月の不足額=毎月の支出(税・社会保険料を含む)-毎月の年金収入(額面)

年間の不足額に老後の年数を掛けて、手持ちの資産と比べます。老後の年数は、65歳の平均余命が目安です。令和7年の簡易生命表では、男性が19.68年、女性が24.52年です(厚生労働省)。夫婦では長い側に合わせ、90歳や95歳までを見ておくほうが安全です。

仮に、年金が夫婦で額面月22万円、貯蓄と退職金が合わせて3,000万円の夫婦だとします。支出は家計調査の平均(消費支出263,979円+税・社会保険料32,850円)と同じ前提です。

項目金額
毎月の支出296,829円
毎月の年金(額面)220,000円
毎月の不足76,829円
年間の不足約92.2万円
20年分(85歳まで)約1,844万円
25年分(90歳まで)約2,305万円
30年分(95歳まで)約2,766万円
資産3,000万円との差(25年分の場合)約695万円
資産3,000万円との差(30年分の場合)約234万円

この試算は、仮の数字による一例です。上の表に、前の章の一時費用を重ねてみます。修繕137万円、介護542万円、葬儀97万円を合わせると約776万円で、25年分の不足を引いた残りの695万円を上回ります。

全員が全部を使うわけではありません。それでも、3,000万円があっても余裕は薄いと分かります。

「老後2,000万円」という数字も、この考え方から生まれました。2019年の金融審議会の報告書が、月約5万円の不足が毎月発生する場合の取り崩し額として、20年で約1,300万円、30年で約2,000万円を示しています。

2025年の平均の不足額は月42,434円で、30年なら約1,528万円です。数字は年ごとに動き、自分たちの年金と暮らし方で大きく変わります。

老後資金が不足する夫婦が今から備える方法

不足額が見えたら、次は埋める手段を選ぶ段階です。退職までの期間がある夫婦ほど、取れる手が多く、時間を味方にできます。

備え方は、次の2つです。

  1. 家計を見直して毎月の貯蓄額を増やす
  2. NISA・iDeCoを活用して老後資金を積み立てる

家計の見直しから順に確認します。

家計を見直して毎月の貯蓄額を増やす

最初の手段は、毎月の貯蓄額を増やすことです。効果が続くのは、固定費の見直しです。見直しの対象には、通信費、保険料、車の維持費、住居費が入ります。

本記事の家計調査の数字で言えば、交通・通信が月31,325円、光熱・水道が月23,540円です。一度見直せば、翌月以降も効果が続きます。

毎月3万円を見直して貯蓄に回すと、1年で36万円です。退職までの4年で144万円、10年で360万円に達します。

退職後に向けては、支出の水準を年金収入に早めに近づけておきましょう。取り崩しが緩やかになり、資産が持つ年数も延びる計算です。保険を見直すときは、解約や減額の前に、必要な保障が残るかを確認するのが先です。

NISA・iDeCoを活用して老後資金を積み立てる

資産運用で備える手段には、NISAとiDeCoがあります。ここでは制度の枠だけを整理します。

新NISAは、年間の投資上限が360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円までです(金融庁)。運用益は非課税です。

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2026年12月から会社員・公務員の拠出限度額が変わります。企業年金の有無にかかわらず、企業年金等と合わせて月6.2万円になり、企業年金がない場合は月2.3万円から引き上げられます。加入できる年齢も、一定の要件を満たせば70歳になるまで広がります(厚生労働省)。

どちらも、運用商品の価格は変動します。元本割れの可能性があり、不足額を確実に埋められるわけではありません。退職までの期間が短い夫婦は、運用期間を前提に、無理のない金額から考えてください。

iDeCoは加入期間が短いと、受け取り開始の年齢が60歳より後になる場合があります。始める前に、公式の案内で条件を確かめておくと安心です。個別の商品や配分は、運営会社や専門家に相談して決めてください。

まとめ|夫婦の老後生活費は内訳を把握して必要な資金を準備しよう

夫婦の老後の生活費は、家計調査(2025年平均)で消費支出が月263,979円でした。税金・社会保険料を加えると月296,829円で、収入との差は平均で月約4.2万円です。

持ち家かどうか、ローンが残るかで、毎月の住居関連の支出は大きく変わります。修繕、医療、介護、葬儀の一時費用は、生活費とは別枠で見ておきます。

最初の一歩は、ねんきんネットで年金の見込額を確かめることです。次に、今の家計を費目別に並べ、本記事の平均と比べます。

差額に年数を掛けた金額が、必要な資金の目安です。不足が見えたら、固定費の見直しと、NISA・iDeCoの検討に進みます。内訳が見えれば、「足りるのか」という漠然とした不安は、「いくら足りないのか」という数字に変わります。

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この記事を書いた人

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種資格保有。金融・保険・年金・税金・不動産分野を中心に、これまで1,000本以上の記事を執筆。金融記事の監修や編集にも携わり、公的機関の資料や一次情報をもとに、専門的な制度や仕組みをわかりやすく解説しています。

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