年金を早く受け取りたい。ただ、働きながらだと減らされるという話も耳に入ります。60代で現役を続ける会社員なら、一度は立ち止まる問いです。
在職老齢年金の基準額は、2026年4月に月51万円から65万円へ引き上げられました。給与と老齢厚生年金の合計がこの額以下なら、年金は全額支給されます。
ただし、繰上げ受給には落とし穴があります。一度請求すれば取り消せず、減額は生涯続きます。しかも厚生年金保険料は、働いている間ずっと払い続ける形です。
本文では、支給停止額の計算方法、3つの数値例、判断に使う4つの物差しを順に示します。自分の給与と年金額を当てはめながら読んでください。
繰り上げるか、65歳まで待つか。その分かれ目が見えてきます。
働きながら年金を繰り上げ受給する場合の基本ルール
繰上げ受給は、厚生年金に加入して働いていても請求できます。まず押さえたいのは、請求できる年齢、請求の単位、減額の仕組み、取り消せない点の4つです。
項目は、次のとおりです。
- 厚生年金に加入しながらでも60歳から繰り上げ受給できる
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則同時に繰り上げる
- 繰り上げた月数に応じて年金額が生涯減額される
- 一度繰り上げ受給を請求すると取り消しできない
請求できる年齢から順に見ていきます。
厚生年金に加入しながらでも60歳から繰り上げ受給できる
老齢年金の受給開始は、原則65歳です。希望すれば、60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れます。
会社員として厚生年金に加入している間も、請求そのものはできます。年金の支給は、請求した日の翌月分からです。
減額率は、手続きを行った時点で確定します。請求のタイミングを後から選び直すことはできません。
壁になるのは、給与との合計額です。働いて得る給与が多いと、在職老齢年金の仕組みで年金の一部または全部が止まります。請求できることと、満額受け取れることは別の話です。
その基準は、本記事の後半で数字を使って示します。先に結論だけ言えば、給与と年金の合計が月65万円を超えるかどうかが線引きです。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則同時に繰り上げる
繰上げ請求は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行うのが原則です。共済組合の老齢年金がある場合も同様に扱います。
基礎年金だけ早め、厚生年金は65歳から。そんな組み合わせは、原則として選べません。
同時に繰り上げれば、減額も両方に及びます。一方で、在職老齢年金で止まる可能性があるのは老齢厚生年金だけです。老齢基礎年金と経過的加算額は調整の対象外で、全額が支給されます。
厚生年金が止まっても、減額後の基礎年金は受け取れます。「働くと年金が全部なくなる」という理解は正確ではありません。
繰り上げた月数に応じて年金額が生涯減額される
減額率は、次の式で決まります。
減額率=0.4%×(繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数)
上限は24%です。この0.4%は、昭和37年4月2日以降に生まれた人に適用されます。昭和37年4月1日以前の生まれは1か月あたり0.5%で、上限は30%です。
減額は老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれに掛かり、請求時点で率が確定します。一生変わりません。
| 請求時の年齢 | 減額率(昭和37年4月2日以降生まれ) | 減額率(昭和37年4月1日以前生まれ) |
|---|---|---|
| 60歳 | 24.0% | 30.0% |
| 61歳 | 19.2% | 24.0% |
| 62歳 | 14.4% | 18.0% |
| 63歳 | 9.6% | 12.0% |
| 64歳 | 4.8% | 6.0% |
金額に直してみます。令和8年度の老齢基礎年金は、満額で月70,608円です(昭和31年4月2日以後生まれ)。老齢厚生年金が月10万円の人を例に、請求年齢ごとの減額後の月額を並べます。
| 請求年齢 | 老齢基礎年金(満額) | 老齢厚生年金(月10万円の場合) |
|---|---|---|
| 65歳(減額なし) | 70,608円 | 100,000円 |
| 64歳 | 約67,200円 | 約95,200円 |
| 63歳 | 約63,800円 | 約90,400円 |
| 62歳 | 約60,400円 | 約85,600円 |
| 61歳 | 約57,100円 | 約80,800円 |
| 60歳 | 約53,700円 | 約76,000円 |
数字はいずれも筆者試算(昭和37年4月2日以降生まれの減額率を適用)です。61歳で請求すれば、基礎と厚生を合わせて月に約3.0万円、年に約36万円も少ない額が一生続きます。
一度繰り上げ受給を請求すると取り消しできない
繰上げ請求は、後から取り消すことも、内容を変えることもできません。減額率も動きません。
さらに、繰上げ後はできなくなることがあります。
- 国民年金の任意加入、保険料の追納
- 事後重症などによる障害基礎(厚生)年金の請求
- 寡婦年金の受給(受給中の人は権利がなくなる)
- 老齢厚生年金の長期加入者特例・障害者特例の適用
65歳になるまでは、遺族厚生年金などと老齢年金を併せて受け取れません。どちらかを選ぶ形です。
家計の足しにするための請求が、万一のときの備えを細らせます。配偶者の収入が限られる世帯では、見落としたくない論点です。
再雇用で賃金が下がり、高年齢雇用継続給付を受ける場合は、老齢厚生年金が一部止まります。停止額の上限は標準報酬月額の4%です(令和7年4月1日より前に要件を満たした場合は6%)。
働きながら繰り上げ受給した年金の支給停止額を計算する方法
支給停止額は、3つの数字から求めます。基本月額、総報酬月額相当額、そして基準額の65万円です。順に見ていきます。
手順は、次の3ステップです。
- 支給停止の対象となる老齢厚生年金の基本月額を確認する
- 給与と賞与から総報酬月額相当額を算出する
- 2026年度の支給停止調整額65万円に当てはめて支給停止額を求める
最後のステップで、65万円の基準額に当てはめます。
支給停止の対象となる老齢厚生年金の基本月額を確認する
基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額です。年額を12で割った額で考えます。
含めないものがあります。老齢基礎年金、経過的加算額、加給年金額の3つです。自分の数字は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。
注意点が1つあります。繰上げをした場合に、基本月額を減額前の額で見るのか、減額後の額で見るのか。
日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」のページには、繰上げとの関係の記載がありません。民間の解説にも、順序の説明が割れているものがあります。
停止が生じそうな人は、年金事務所で試算を頼むのが確実です。後述する「支給停止なし」の場合は、この順序は結果に影響しません。
給与と賞与から総報酬月額相当額を算出する
総報酬月額相当額は、次の式で求めます。
総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+(その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)
税金などを引く前の額で見ます。手取りではない点に注意が必要です。
手順は3つです。まず給与明細で標準報酬月額を確認します。次に、直近1年の賞与の額面を合計。
最後に12で割って、標準報酬月額に足します。賞与が年2回あれば、年額を12で割った額が毎月の給与に乗る形です。再雇用で給与が下がれば、この額も下がります。
2026年度の支給停止調整額65万円に当てはめて支給停止額を求める
基準額は、令和8年度で月65万円です。2026年4月の改正で、51万円から引き上げられました。この額は賃金の変動に応じて毎年度見直されます。
当てはめ方は2通りに分かれます。
- 基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下:年金は全額支給
- 合計が65万円を超える:支給額=基本月額−(基本月額+総報酬月額相当額−65万円)÷2
超えた額の半分が、年金から差し引かれます。支給額がマイナスになる場合は、加給年金額を含む老齢厚生年金が全額止まる扱いです。
60歳から64歳にも、同じ式が使われます。令和4年3月までは、この年代だけ別の基準がありました。月28万円を超えると停止の対象になっていたのが、令和4年4月に65歳以上と同じ仕組みへ統一されています。
「働くと年金が減らされる」という同僚の話は、この旧基準の記憶かもしれません。現在の基準は、当時よりかなり高い水準です。
停止額は、いつ変わるのか。総報酬月額相当額が変わった月、または退職日の翌月に改められます。昇給や賞与の支給で数字が動けば、停止額も動きます。
70歳以降も、厚生年金の適用事業所で働けば停止の対象です。ただし70歳以上は被保険者ではないため、保険料の負担はありません。
制度は施行されたばかりです。公開時点の最新の金額は、日本年金機構のページで確認しておきたいところです。
働きながら年金を繰り上げ受給した場合のシミュレーション
ここからは数字で見ていきます。支給停止なし、一部停止、全額停止の3パターンです。式は前章のものを使います。
ケースは、次のとおりです。
- 支給停止なし|給与と老齢厚生年金の合計が65万円以下の場合
- 一部支給停止|65万円を超えて老齢厚生年金の一部が減額される場合
- 全額支給停止|老齢厚生年金がすべて支給停止となる場合
停止なしの例から始めます。
支給停止なし|給与と老齢厚生年金の合計が65万円以下の場合
日本年金機構が示す例から始めます。給与24万円、年間賞与42万円(月3.5万円)、老齢厚生年金10万円。
合計は37.5万円で、65万円に届きません。全額を受給できます。
給与が月30万円台なら、この形に収まります。標準報酬月額30万円、賞与が年60万円(月5万円)、老齢厚生年金が月10万円なら、合計は45万円です。基準の65万円まで20万円の余裕があります。
| 項目 | 日本年金機構の例 | 筆者試算(想定例) |
|---|---|---|
| 給与(標準報酬月額) | 24万円 | 30万円 |
| 賞与(年額÷12) | 3.5万円 | 5万円 |
| 老齢厚生年金(基本月額) | 10万円 | 10万円 |
| 合計 | 37.5万円 | 45万円 |
| 結果 | 全額支給 | 全額支給 |
右の列は仮の数字です。自分の標準報酬月額と年金額に置き換えて試してください。
停止がなければ、繰上げの影響は減額だけです。減額後の年金を、そのまま受け取れます。賞与の月が来ても、同じ見方ができます。
賞与は年額を12で割って毎月に均すため、ボーナス月だけ合計が跳ね上がることはありません。次の項で見る公式の例でも、年間賞与144万円と月給41万円が重なって、ようやく停止額が1.5万円出る水準です。
一部支給停止|65万円を超えて老齢厚生年金の一部が減額される場合
合計が65万円を超えると、超えた額の半分が止まります。
日本年金機構の例では、給与41万円、年間賞与144万円(月12万円)、老齢厚生年金15万円です。合計は68万円。基準を3万円超えるため、その半分の1.5万円が停止されます。
| 項目 | 日本年金機構の例 | 筆者試算(高収入の例) |
|---|---|---|
| 給与(標準報酬月額) | 41万円 | 55万円 |
| 賞与(年額÷12) | 12万円 | 10万円 |
| 基本月額 | 15万円 | 12万円 |
| 合計 | 68万円 | 77万円 |
| 超過額 | 3万円 | 12万円 |
| 支給停止額(超過額÷2) | 1.5万円 | 6万円 |
| 支給される老齢厚生年金 | 13.5万円 | 6万円 |
ここで気になるのが「稼ぐと損をするのでは」という点です。損はしません。
給与が1万円増えても、停止額が増えるのは0.5万円だけです。給与と年金の合計は、給与が増えるほど増えます。
繰上げをしている場合は、前章で触れた計算順序が支給額を変える可能性があります。上の表は、減額前の年金額で試算した目安です。実際の額は年金事務所の試算で確かめたいところです。
全額支給停止|老齢厚生年金がすべて支給停止となる場合
停止額が基本月額以上になると、老齢厚生年金は全額が止まります。式を整理すると、総報酬月額相当額が「65万円+基本月額」以上のときです(筆者の計算)。
基本月額が10万円なら、75万円が分かれ目です。標準報酬月額の上限は65万円です。賞与が月10万円相当(年120万円)あれば届きます。
- 基本月額10万円、総報酬月額相当額75万円
- 停止額=(10万円+75万円−65万円)÷2=10万円
- 支給額=10万円−10万円=0円
高収入の人に限られる話です。それでも、全額停止の下では繰上げの意味が薄れます。減額だけが残るからです。
全額停止でも、止まるのは老齢厚生年金だけです。減額後の老齢基礎年金と経過的加算額は支給されます。
退職すれば、翌月から停止が解けます。ただし退職後1か月以内に再就職して厚生年金に加入した場合は対象外です。
働きながら年金を繰り上げ受給するか判断する4つのポイント
停止の有無が分かったら、次は繰り上げるかどうかの判断です。物差しは4つあります。収支、加入継続の効果、手取り、生涯の損得です。
項目は、次のとおりです。
- 65歳までの生活費や住宅ローンの返済に必要な金額を把握する
- 厚生年金への加入継続で将来の年金額がいくら増えるか確認する
- 税金・社会保険料を差し引いた給与と年金の手取り額を試算する
- 65歳から受給する場合と生涯受給額・損益分岐点を比較する
収支の把握から順に進めます。
65歳までの生活費や住宅ローンの返済に必要な金額を把握する
出発点は、65歳までの不足額です。毎月の手取り収入を書き出します。本人の給与に、配偶者のパート収入を足します。
次に支出です。生活費と住宅ローンの返済を分けて並べます。
不足が月いくらで、何か月続くのか。ここが見えれば、繰上げの必要性が測れます。
目安になる数字もあります。生命保険文化センターの2025年度調査では、夫婦2人の最低日常生活費は月額平均23.9万円でした。ゆとりある老後生活費まで含めると、月額平均は39.1万円に上ります。
ただしどちらも回答者が「必要と考える額」で、実際の支出ではありません。家計簿の実績に置き換えるのが確実です。
書き出しの順序はこうです。
- 毎月の手取り収入(本人の給与、配偶者のパート収入)
- 固定費(住宅ローン、保険料、通信費、光熱費)
- 変動費(食費、日用品、交際費)
- 65歳までの不足月額×月数
最後の行が、繰上げで埋めたい金額の上限です。
不足が小さいなら、繰上げの必要性は低くなります。大きいなら、次に問うのは「何年分を埋めるのか」です。
住宅ローンが5年残るなら、その5年を乗り切るために65歳以降の年金を減らす価値があるか。そこが分かれ目です。
厚生年金への加入継続で将来の年金額がいくら増えるか確認する
老齢年金の受給権が発生した後も、70歳まで厚生年金に加入できます。その期間は年金額に反映されます。
報酬比例部分の式は、平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数です(2003年4月以降の期間)。標準報酬月額30万円なら、1年間で約2.0万円の増額です(筆者試算:30万円×5.481/1000×12。再評価率は考慮しません)。
一方、保険料の本人負担は、料率18.3%の半分の9.15%です。標準報酬月額30万円で月27,450円、年に約32.9万円です(賞与分を除く)。
| 項目 | 標準報酬月額20万円 | 標準報酬月額30万円 |
|---|---|---|
| 1年加入で増える年金(年額) | 約1.3万円 | 約2.0万円 |
| 本人負担の保険料(年額・賞与を除く) | 約22.0万円 | 約32.9万円 |
増えた年金で保険料を取り戻すには、単純計算で約17年かかります(筆者試算:32.9万円÷2.0万円)。保険料だけを見れば、割のよい話ではありません。
ただし、見落としたくない点があります。増えた年金は一生続きます。
保険料の半分は会社が負担している形です。本人負担だけで損得を割り切れない部分です。
加入を続けると、退職したときにも年金額が見直されます。退職して1か月を経過した場合や70歳に達した場合に、翌月分から改定の対象です。65歳以上70歳未満を対象に、毎年9月1日時点の加入期間を年金額に反映する在職定時改定もあります。
1年の在職で年額約1.3万円の増額という例が示されています。62歳前後の加入分が年金額にどう反映されるかは、年金事務所で確認してください。
税金・社会保険料を差し引いた給与と年金の手取り額を試算する
手取りは、額面から社会保険料と税金を引いて考えます。
給与から引かれるのは、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、所得税、住民税です。協会けんぽ東京支部の2026年度の健康保険料率は9.85%で、労使で折半します。40歳から64歳は、介護保険料率1.62%も加わります。
健康保険組合に加入している場合は、料率が異なる点に注意が必要です。給与明細で確かめてください。
標準報酬月額30万円で試算してみます。厚生年金保険料は月27,450円(30万円×9.15%)。健康保険料は月14,775円(30万円×9.85%÷2)。
介護保険料は月2,430円(30万円×1.62%÷2)。3つを合わせて月44,655円です。
ここに子ども・子育て支援金(率0.23%)、雇用保険料、所得税、住民税が加わります(筆者試算)。協会けんぽ東京支部の場合の目安です。
繰り上げて受け取る年金は、雑所得として課税されます。65歳未満の公的年金等控除は、収入が130万円以下で最低60万円です。給与と年金は合算して課税されるため、年金を受け取れば税負担が増えます。
配偶者の扶養や住民税にも波及する可能性があります。パートで働く配偶者がいる世帯は、扶養の条件を確かめておきたいところです。
手取り額の試算は、直近の税額表で行うのが確実です。基礎控除や給与所得控除は改正が続いています。給与所得控除の最低保障額は、令和8年分から65万円が74万円に引き上げられます(施行は令和8年12月)。
65歳から受給する場合と生涯受給額・損益分岐点を比較する
減額率は請求年齢で決まります。だから損益分岐点は、計算で出せます。
分かれ目の年齢は、約85.8歳から「65歳までの繰上げ年数」を引いた値です(筆者試算。式:65歳+(繰上げ年数)×(1−減額率)÷減額率)。
| 請求年齢 | 減額率 | 損益分岐点(単純比較) |
|---|---|---|
| 60歳 | 24.0% | 約80歳10か月 |
| 61歳 | 19.2% | 約81歳10か月 |
| 62歳 | 14.4% | 約82歳10か月 |
| 63歳 | 9.6% | 約83歳10か月 |
| 64歳 | 4.8% | 約84歳10か月 |
61歳で請求した場合、約81歳10か月までは繰上げのほうが累計の受給額が多くなります。それを超えて長生きすれば、65歳請求が上回る計算です。
金額で確かめてみます。老齢厚生年金が月10万円、老齢基礎年金が満額の月70,608円だとします。
65歳から受け取れば、月に17.0万円余り、年に約204.7万円です。61歳で繰り上げると、減額後は月約13.8万円、年に約165.4万円です(筆者試算)。
65歳になるまでの4年間で、累計は約661.7万円。65歳以降は、毎年約39.3万円の差が開き続けます。661.7万円を39.3万円で割ると約16.8年で、先ほどの約81歳10か月と一致します。
この表は単純比較です。税、保険料、在職老齢年金による停止、毎年の年金額の改定は含みません。昭和37年4月2日以降の生まれが前提です。
停止が起きると、前提が崩れます。全額停止の期間は、繰上げの利益が出ません。一部停止でも、受け取る額は表の想定より少なくなります。
数字に表れない価値もあります。目の前の生活費に余裕がなく、不安を抱えて働き続けるのは重い負担です。一方で、長生きした場合の減額は取り消せません。
配偶者の生涯も含めて考える必要があります。最終的には、年金事務所の試算で自分の数字を確かめてください。
まとめ|働きながら年金を繰り上げ受給するなら手取り額と将来の年金額を比較しよう
働きながらでも、繰上げ受給は請求できます。年金が止まるかどうかは、基本月額と総報酬月額相当額の合計が、基準の65万円を超えるかで決まります。給与が月30万円台なら、合計は基準にはるかに届きません。
一方で、請求は取り消せず、減額は生涯続きます。損益分岐点は、61歳請求で約81歳10か月です。
見るべき数字は4つ。65歳までの不足額。加入継続で増える年金と保険料。
税と社会保険料を引いた手取り。損益分岐点。
まずはねんきんネットで、自分の基本月額を確認します。給与明細で標準報酬月額と賞与を拾い、合計を出します。
そこから、年金事務所に繰上げ後の試算を頼めばよいのです。数字がそろえば、配偶者とも同じ紙を見ながら話ができます。
基準額は毎年度改定されます。請求の直前には、日本年金機構の最新のページで65万円が変わっていないかを確かめておきたいところです。
