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【2026年改正対応】iDeCoの受け取り方で税金はいくら変わる?退職金との関係や節税方法を解説

iDeCo 受け取り方 税金

iDeCoの案内が届くと、一時金と年金のどちらにするか迷うものです。退職金と受け取る時期が近い人は、選び方ひとつで使える控除と税額が大きく変わります。

先に答えを書きます。勤続38年で退職金1,800万円、iDeCo残高400万円の人が同じ年に一時金で受け取ると、税金は約10.6万円です。

受取年をずらすと、約24万〜30万円に増えます。勤続年数が短い人は、順番が逆になることもあります。

本記事は、一時金・年金・併用の税金の違い、退職金と受け取る順番のルール、2026年の改正点を、この金額の例で解説する構成です。自分の勤続年数に置き換えて読んでください。(2026年11月時点の国税庁・iDeCo公式の記載に基づきます)

目次

iDeCoの受け取り方は3種類!それぞれにかかる税金の違い

iDeCoは、受取方法ごとに使える控除が違います。積立時は掛金が全額所得控除、運用時は運用益が非課税ですが、受取時の「非課税」は控除の範囲内だけです。

運用益には、通常なら20.315%の源泉分離課税がかかります。iDeCoではこれがかからず、運用益は非課税のまま再投資に回る仕組みです。積立金にかかる特別法人税(年1.173%)も、現在は課税が停止されています。

受け取り方は、次の3つです。

  1. 一時金で受け取る場合|退職所得控除が適用される
  2. 年金で受け取る場合|公的年金等控除が適用される
  3. 一時金と年金を併用する場合|それぞれの控除が適用される

使える控除と税の区分を、それぞれ確認します。

一時金で受け取る場合|退職所得控除が適用される

一時金で受け取ると、退職所得として課税されます。課税される額は、(収入金額−退職所得控除額)×1/2です。収入金額には、元本と運用益の両方が含まれます。

控除額は、掛金を払い込んだ期間を勤続年数とみなして計算します。20年以下なら40万円×年数(最低80万円)、20年超なら800万円+70万円×(年数−20年)です。拠出15年なら、控除は600万円。

残高400万円は、単独で受け取れば課税対象外。ここまでは心配いりません。

条件が変わるのは、退職金と重なるときです。控除の使い方が変わるため、詳しくは次の見出しで取り上げる点です。

手続きにも注意が要ります。「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、収入金額に一律20.42%が源泉徴収されます。400万円なら約82万円です。

あとで確定申告をすれば精算できますが、いったん手元から出ていく金額です。退職金と同じ年に受け取るなら、会社とiDeCoの両方に申告書が要ります。出し忘れた側だけが20.42%の対象です。

年金で受け取る場合|公的年金等控除が適用される

年金で受け取ると、雑所得(公的年金等)として課税されます。一時金と違い、1/2の計算はありません。

公的年金等控除は、他の公的年金と合わせて1回分しか使えません。最低額は、65歳未満で60万円、65歳以上で110万円です。ここが年金受取の落とし穴になります。

65歳以降に厚生年金が年180万円ある人で考えます。公的年金等の所得は、180万円−110万円で70万円です。

ここにiDeCoの年金を年40万円足すと、収入は220万円、所得は110万円に増えます。増えた40万円は、控除の枠がすでに埋まっているため、まるごと課税対象になります。

60〜64歳でiDeCoの年金だけなら、年60万円までは所得がゼロです。年金は、他の所得が少ない時期に小さく受け取る使い方に向きます。

受取期間は、有期で5年以上20年以下です。受取開始の請求期限は、75歳までです。運営管理機関によっては、終身年金を選べる場合もあります。

一時金と年金を併用する場合|それぞれの控除が適用される

併用すると、一時金の部分には退職所得控除、年金の部分には公的年金等控除が使えます。併用できるかは金融機関によるため、案内状で確認してください。

併用の狙いは、控除の余りを使い切ることにあります。勤続38年の退職所得控除は2,060万円です。退職金が1,800万円なら、差の260万円までは、iDeCoの拠出期間が勤続期間に収まっていれば、同じ年にiDeCoの一時金で受け取っても課税されません。

残りは年金に回す形です。退職金に企業年金や企業型DCが含まれている人は、それも退職所得として合算の対象です。先に会社へ内訳を聞いておくと、計算がずれにくくなります。

iDeCoと退職金の受け取る順番で税金はどう変わる?

同じ退職所得でも、受け取る年が違うと控除の計算が変わります。ポイントは、勤続期間が重なる分の控除を差し引く「重複調整」です。

どの順番で、何年空けると調整が外れるのか。国税庁の区分に沿って整理します。

受け取る順番は、次の3つです。

  1. iDeCoと退職金を同じ年に受け取る場合
  2. iDeCoを先に受け取る場合|2026年からの「9年ルール」に注意
  3. 退職金を先に受け取る場合|「19年ルール」に注意

控除が調整される条件を、それぞれ確認します。

iDeCoと退職金を同じ年に受け取る場合

同じ年に2か所以上から退職手当等を受け取るときは、収入金額を合計して計算する決まりです。勤続年数は、最も長い期間を基準にして、重ならない期間を足して数えます。

iDeCoの拠出15年が、会社の勤続38年にすっぽり入るなら、通算の勤続年数は38年のままです。控除は2,060万円の1回分で、iDeCoの分を上乗せして2回取ることはできません。

あとから支払う側が、先に支払われた分を含めて源泉徴収税額を計算します。申告書には、支払済みの退職手当等を書き、源泉徴収票を添えます。

前年以前の調整を受けない。これが、同じ年に受け取る強みです。

iDeCoを先に受け取る場合|2026年からの「9年ルール」に注意

iDeCoの一時金を先に受け取り、あとで退職金を受け取る場合は、重なる期間の控除が差し引かれます。対象は、前年以前9年内に受けた一時金です。

2026年(令和8年)1月1日以後に受けた一時金から、4年内が9年内に広がりました。10年以上空けないと調整を避けられないため、通称「10年ルール」とも呼ばれます。2026年1月1日より前に受けた一時金は、従来どおり4年内で判定します。

調整のしくみは次のとおりです。本年の勤続年数で出した控除額から、重なる期間の年数(1年未満は切り捨て)で出した控除額を引きます。残りが、その年の退職所得控除になります。

この節が当てはまるのは、iDeCoの受取が退職金より先になる人です。定年後も再雇用で働き、退職金の支給が数年あとになる人は、確認が要ります。60歳で退職金が出る会社なら、iDeCoを先に受け取る状況は起きにくいはずです。

退職金を先に受け取る場合|「19年ルール」に注意

退職金を先に受け取り、あとでiDeCoの一時金を受け取る場合は、前年以前19年内の退職金が調整の対象になります。こちらは、今回の改正で変わっていません。

ここに、iDeCoの受取上限が絡みます。受取開始は75歳までに請求します。60歳で退職金を受け取った人が、iDeCoを最も遅く受け取っても、15年後です。

19年内に収まるため、調整は避けられません。調整を外すには、退職金の年から20年以上空ける必要があります。60歳受取なら80歳。上限の75歳を超えます。

60歳定年の人にとって、「iDeCoをずらして控除を丸ごと使う」は成り立ちません。

ずらして残るものは、運用を続けられる点と、年金受取に回す選択肢くらいです。税の面で得になる話ではありません。

【退職金1,800万円・iDeCo400万円】受け取り方別の税金シミュレーション

前の節で整理したルールを、数字に当てはめます。前提は次のとおりです。

  • 勤続38年(大卒22歳入社〜60歳)で、退職所得控除は2,060万円
  • iDeCoは拠出15年で、勤続期間にすべて重なる
  • 受取は2028年ごろ。所得税は速算表×102.1%、住民税は課税退職所得×10%

2027年(令和9年)以後は、防衛特別所得税が創設され、復興特別所得税の税率が下がります。合計の税率は変わらないため、計算方法は同じです。

ケース退職金iDeCo税額の合計
同じ年に両方一時金一時金1,800万円一時金400万円約10.6万円
iDeCoだけ数年後に一時金一時金(非課税)一時金400万円(調整あり)約24.2万〜30.5万円
iDeCoは年金(10年)一時金(非課税)年40万円×10年退職金分0円。年金は他の年金しだい
iDeCoは併用一時金(非課税)一時金260万円+年金140万円一時金分0円

引用:国税庁 No.1420・No.2735の計算式に当てはめた試算(2026年11月時点)

受け取り方の組み合わせは、次の4つです。

  1. iDeCoと退職金を同じ年に一時金で受け取るケース
  2. iDeCoと退職金の受取年をずらして一時金で受け取るケース
  3. iDeCoを年金・退職金を一時金で受け取るケース
  4. iDeCoを一時金と年金の併用・退職金を一時金で受け取るケース

税額と手取りを、それぞれ確認します。

iDeCoと退職金を同じ年に一時金で受け取るケース

退職金1,800万円とiDeCo400万円の合計は、2,200万円です。控除2,060万円を、140万円超えます。

課税退職所得金額は、(2,200万円−2,060万円)×1/2で70万円。所得税・復興特別所得税は、70万円×5%×102.1%で3.6万円です。住民税は7万円。

合計は約10.6万円で、手取りは約2,189万円になります。

退職金だけなら非課税の水準です。iDeCoの400万円のうち、課税対象になるのは140万円分の半分にとどまります。

iDeCoと退職金の受取年をずらして一時金で受け取るケース

退職金を60歳で受け取り、iDeCoを65歳か70歳で一時金にした場合を見ます。どちらも19年内なので、結果は同じです。

iDeCoの退職所得控除は、拠出15年の600万円から、重なる15年分の600万円を引いて、0円。最低80万円が保障される場合は、80万円です。

この扱いは、国税庁の資料でさらに確認します。退職金は控除の範囲で非課税のまま、iDeCoの400万円は大半が課税対象になります。

課税退職所得金額は、控除0円なら200万円、80万円なら160万円です。税額は約30.5万円か約24.2万円で、同じ年の約10.6万円より重くなります。ずらせば得、とは限りません。

勤続年数退職所得控除同じ年に受け取るずらして受け取る
38年2,060万円約10.6万円約24.2万〜30.5万円
30年1,500万円約62.8万円約46.8万〜53.1万円
20年800万円約169.4万円約132.6万〜138.9万円

引用:国税庁 No.1420・No.2735の計算式に当てはめた試算(2026年11月時点)

勤続38年のように長い人は、控除が余り、同じ年が有利です。勤続30年や20年の人は、退職金だけで控除を超えてしまいます。

年を分けると、課税される金額が2回に分かれ、低い税率の区分に収まる分、税額が下がる計算です。結論は、勤続年数で変わります。

iDeCoを年金・退職金を一時金で受け取るケース

iDeCoを10年の年金にすると、年40万円ずつの受取になります。退職金は一時金1,800万円で、控除2,060万円の範囲に収まり、非課税のままです。

年金は雑所得なので、一時金の重複調整は関係しません。ここが一時金との大きな違いです。

60〜64歳でiDeCoの年金だけなら、控除は最低60万円で、年40万円の所得はゼロです。65歳以降は、国民年金や厚生年金と合わせて控除を1回使うため、他の年金が大きいほど、iDeCoの年金に課税される割合が増えます。

手数料も見落とせません。年金は、受取のたびに手数料がかかる金融機関があり、案内状の料金表で年間いくらになるかを確かめてください。

65歳以降の公的年金額は、人によって大きく違います。ねんきん定期便の見込額で、自分の数字に置き換えてください。

iDeCoを一時金と年金の併用・退職金を一時金で受け取るケース

控除の余りは、2,060万円−1,800万円で260万円です。この260万円までを、退職金と同じ年にiDeCoの一時金で受け取ると、課税退職所得金額はゼロです。

残りの140万円は、10年の年金にすれば年14万円。60〜64歳なら、控除60万円の範囲に収まり、所得はゼロになります。4つのうち、税額が最も小さい組み立てです。

ただし、併用を認めるかは金融機関によります。一時金は一度にまとまった額を使えますが、年金は毎年少額になります。税額と資金の動かしやすさは、天秤にかけてください。

iDeCoの受け取り方で損をしないための4つの確認事項

ここまでの試算は、数字の置き方で結果が変わります。請求の前に、次の4点を自分の数字で確かめてください。

確認事項は、次の4つです。

  1. 退職金の金額と勤続年数
  2. iDeCoの残高と加入期間
  3. 公的年金や給与などの所得見込み
  4. 受取可能年齢・金融機関の受取条件と手数料

自分の数字に置き換える手順を、それぞれ確認します。

退職金の金額と勤続年数

最初に、退職金の見込額と勤続年数を確かめます。勤続年数は、入社日から退職日までです。1年未満は切り上げます。勤続10年2か月なら11年です。

控除額は、20年以下なら40万円×年数、20年超なら800万円+70万円×(年数−20年)で出ます。退職金が控除額より小さければ、退職金は非課税です。差が、iDeCoを足せる余りになります。

再雇用で働き続けると、退職日がのびます。勤続年数も、退職金の支給時期も変わるため、会社の規程を確かめておきましょう。計算の基礎は、退職金の税金と控除の別記事にまとめました。

iDeCoの残高と加入期間

控除は、掛金を払い込んだ期間で決まります。通算加入者等期間は、運営管理機関や国民年金基金連合会に聞けば分かります。運用だけしていた期間(運用指図者)が含まれるかは、通知で確認してください。

60歳から受け取るには、60歳までに通算加入者等期間が10年以上要ります。10年に満たなければ、受取は61〜65歳に後ろへずれる決まりです。

60歳以降も掛金を払い続けると、加入者の間は請求できない場合があります。払込期間が延びて控除は増えますが、受取が遅れます。

iDeCoの加入年齢は、公式サイトによると2026年12月に70歳未満へ引き上げられる予定です。続けるかどうかは、受取時期とあわせて決める点です。

公的年金や給与などの所得見込み

年金受取が得かどうかは、他の所得で決まります。ねんきん定期便の見込額が大きい人は控除の枠が先に埋まり、iDeCoの年金のほとんどが課税対象です。

60代前半は、再雇用の給与と合算して税率が決まります。一時金は退職所得として、他の所得と分けて計算する分離課税です。

国保や介護保険料などへの影響は、自治体や制度で異なります。年金受取を選ぶ前に、市区町村の窓口で確認しておきたいところです。

受取可能年齢・金融機関の受取条件と手数料

受取は原則60歳からです。75歳までに請求します。請求先は、記録関連運営管理機関です。

一時金・年金・併用の可否、年金の期間、終身年金の有無は、金融機関で異なります。手数料も、受取方法や金融機関で変わります。

案内状が届いたら、受取方法ごとの手数料と必要書類を、自分の金融機関に確かめてください。選んだ方法は、請求の時点で確定します。変更できるかどうかも、先に聞いておきましょう。

まとめ|iDeCoの受け取り方は退職金との兼ね合いや税負担を比較して決めよう

iDeCoの受け取り方は、退職金の控除が余るかどうかで決まります。勤続38年・退職金1,800万円・iDeCo400万円の例では、同じ年に一時金で受け取ると約10.6万円です。

受取年をずらすと約24万〜30万円になります。控除の余り260万円を一時金に、残りを年金に回す併用なら、一時金の課税はゼロです。

勤続年数が短い人は、順番が逆になります。自分の勤続年数で、控除額と税額を一度計算してください。

請求の前に済ませることは、次の3つです。

  1. 退職金の見込額と勤続年数を人事に確かめる
  2. 通算加入者等期間と、併用・年金の可否、手数料を金融機関に確かめる
  3. 申告書を会社とiDeCoの両方に出す準備をする
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この記事を書いた人

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種資格保有。金融・保険・年金・税金・不動産分野を中心に、これまで1,000本以上の記事を執筆。金融記事の監修や編集にも携わり、公的機関の資料や一次情報をもとに、専門的な制度や仕組みをわかりやすく解説しています。

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