「夫婦で年金が月25万円と聞いたけれど、これは多いのだろうか」
「手取りはいくらで、そのお金で暮らしていけるのか」
このような疑問をお持ちではありませんか。周囲に聞いても、年金額を教えてくれる人は多くありません。
月25万円は額面です。実際に使えるのは、税金と社会保険料を引いた手取りです。
この差を知らないまま老後に入ると、貯蓄が想定より早く減りかねません。不安の正体は、情報不足です。
先に答えを書きます。令和8年度の標準的な夫婦の年金額は月237,279円で、月25万円はそれより約1.3万円多い水準です。
一方、総務省の家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の収入が月254,395円でした。月25万円は、平均的な高齢夫婦とほぼ同じ水準です。そこで本記事では、以下の内容について詳しく解説します。
- 世帯別の年金額と、月25万円の位置づけ
- 税金と保険料を引いた手取りの目安
- 生活費別のシミュレーションと、夫が亡くなった後の妻の年金
- 不足に備える4つの対策
手元のねんきん定期便とあわせて、読み進めてください。
夫婦で年金月25万円は多い?世帯別の平均受給額と比較
月25万円が多いかどうかは、比べる相手で変わります。会社員と専業主婦の夫婦、共働き、自営業の3つの型で見ていきます。まずは標準からです。
世帯の型ごとの年金額と、必要な年収の目安を、次の4つに分けて見ます。
- 夫が会社員・妻が専業主婦の場合の年金受給額
- 夫婦ともに会社員の場合の年金受給額
- 夫婦ともに自営業の場合の年金受給額
- 夫婦で年金月25万円をもらうために必要な現役時代の年収の目安
夫が会社員・妻が専業主婦の場合の年金受給額
厚生労働省が示す令和8年度の標準的な年金額は、夫婦2人で月237,279円です。前年度の232,784円から4,495円増えました。
この金額には前提があります。平均的な収入(平均標準報酬45.5万円)で40年間働いた夫と、40年間専業主婦だった妻の組み合わせで、妻の老齢基礎年金を含みます。
月25万円との差は12,721円。標準より約1.3万円多い金額です。平均的な会社員の夫婦を、少し上回る水準だと分かります。
| 項目 | 月額 |
|---|---|
| 標準的な年金額(夫婦2人分の基礎年金を含む) | 237,279円 |
| 老齢基礎年金の満額(1人分) | 70,608円 |
出典:日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」(2026年10月時点)。
標準的な年金額から基礎年金2人分(141,216円)を引くと、夫の報酬比例部分は月96,063円です。ここに夫自身の基礎年金が含まれるため、夫が受け取る年金は月約16.7万円、妻は約7.1万円という内訳です。
ただし、標準額はモデルにすぎません。加入期間が40年に満たなければ、見込額はそれだけ下がります。
見落としやすいのが加給年金です。厚生年金の加入期間などの条件を満たす夫が65歳になったとき、生計を維持している65歳未満の妻がいれば、夫の年金に上乗せされます。昭和18年4月2日以後生まれの夫なら、令和8年度は年423,700円、月に直すと約3.5万円です。
加給年金は、妻が65歳になると終わります。つまり、月25万円の見込額に加給年金が含まれているなら、妻の誕生日を境に年金額が下がるということです。確認先は、ねんきん定期便です。
夫婦ともに会社員の場合の年金受給額
共働きの夫婦は、2人それぞれに基礎年金と報酬比例部分がつきます。
40年納付の基礎年金は、夫婦合わせて月141,216円。月25万円との差の約10.9万円が、2人の報酬比例部分の合計にあたります。報酬比例部分は、平均標準報酬額(賞与を含めた月額換算の平均)と加入期間に比例します。
そのため、夫婦の平均標準報酬額の合計が同じなら、年金の合計も同じです。夫1人で稼ぐ世帯でも、夫婦で稼ぐ世帯でも、合計の水準で決まります。
平均値も見ておきます。厚生労働省の事業の概況では、令和6年度末の厚生年金(第1号)の老齢給付の平均年金月額は、基礎年金を含めて約15万円でした。国民年金(老齢基礎年金)の平均は約5.9万円です。
| 区分 | 平均年金月額(令和6年度末) |
|---|---|
| 厚生年金(第1号)の老齢給付 | 約15万円(基礎年金を含む) |
| 国民年金の老齢年金 | 約5.9万円 |
出典:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」。
この平均は、男女や加入期間の違う人を全部ならした値です。個人差は大きく開きます。共働きで夫婦ともに加入期間が長ければ月25万円を超えますし、妻の勤務期間が短く、報酬比例部分が小さければ下回ることもあります。
夫婦ともに自営業の場合の年金受給額
夫婦とも自営業で、国民年金だけに加入してきた場合は、老齢基礎年金が柱です。話は単純です。
令和8年度の満額は月70,608円。40年納付なら夫婦で月141,216円です。
月25万円には約10.9万円届きません。実際の受給額は満額より低い人が多く、国民年金の平均は約5.9万円にとどまり、保険料の未納や免除の期間があれば、さらに下がります。
上乗せには、国民年金基金や付加年金といった制度があります。金額は制度ごとに異なるため、加入先に確認してください。
夫婦で年金月25万円をもらうために必要な現役時代の年収の目安
月25万円を受け取れる人が、現役時代にどれくらい稼いでいたかを見ます。夫が40年間会社員、妻が40年間専業主婦の世帯で試算します。
基礎年金は夫婦で月141,216円。月25万円まで足りない108,784円を、夫の報酬比例部分で賄う計算です。
標準的な年金額の前提では、平均標準報酬45.5万円のとき、報酬比例部分が月96,063円でした。これと比べると、必要な額は約1.13倍です。45.5万円に1.13を掛けると、平均標準報酬額で約51〜52万円と出ます。
賞与込みの月額換算を12倍すれば、年収で約600万円台前半。これが目安です。
| 前提 | 内容 |
|---|---|
| 夫の加入期間 | 40年(厚生年金) |
| 妻 | 40年間専業主婦(基礎年金は満額) |
| 金額の基準 | 令和8年度 |
| 必要な平均標準報酬額(試算) | 約51〜52万円(月) |
| 年収への換算(試算) | 約600万円台前半 |
出典:日本年金機構・厚生労働省の公表額をもとに筆者試算(2026年10月時点)。
共働きなら、夫婦の平均標準報酬額の合計が約51〜52万円(40年換算)で同じ水準です。
この数字は目安にすぎません。平均標準報酬額は、年収を12で割った額とは一致しないからです。標準報酬月額には上限があり、過去の賃金も現在の水準に再評価して計算するため、実際の見込額は人によって上にも下にもぶれます。
すでに見込額が分かっているなら、逆算よりも、ねんきん定期便で自分の数字を確認するほうが早く済みます。
夫婦で年金月25万円の手取り額はいくら?税金・社会保険料の内訳
年金は額面のまま入金されません。税金と保険料が引かれ、手取りは額面を下回ります。
引かれるのは、所得税、住民税、医療保険料、介護保険料の4つです。順に見ていきます。
手取りの目安を、試算で置きます。新宿区に住む65歳以上の夫婦で、夫の年金が年約215万円、妻が基礎年金のみで年約85万円。合わせて月約25万円の想定です。
国民健康保険料は新宿区の令和8年度の概算早見表(軽減前)で年約20万円、介護保険料は全国平均の基準額で2人分が年約15万円。所得税はゼロで、住民税は夫に年4万円前後が上限です。引かれる合計は年35万〜40万円、月に直して約3万円強。
手取りは21万〜22万円前後です。ただし、自治体や所得段階で金額は変わります。以降の数字は目安です。
引かれる項目は、次の4つです。
- 年金から差し引かれる所得税
- 年金から差し引かれる住民税
- 年金から差し引かれる医療保険料
- 年金から差し引かれる介護保険料
年金から差し引かれる所得税
公的年金には、公的年金等控除があります。65歳以上で年金収入が330万円以下なら、控除は一律110万円です(国税庁)。年金収入がそのまま課税されるわけではありません。
令和8年分は、合計所得が132万円以下の人の基礎控除は104万円です(国税庁)。110万円と104万円を足した214万円が、課税が始まる目安です。令和8年分の源泉徴収でも、65歳以上で年金が214万円未満なら所得税は引かれません(前年は205万円未満)。
夫婦の場合は、夫と妻の年金が別々に計算されます。妻が専業主婦で基礎年金のみなら、年約85万円(70,608円×12か月)で、課税の対象になりません。
夫の年金が年215万円なら、所得は約105万円。基礎控除の104万円に社会保険料控除が加わり、課税所得はゼロです。夫婦の年金を合算して税率を出すと、実態からずれます。合算は禁物です。
年金から差し引かれる住民税
住民税も、年金から天引きされる仕組み(特別徴収)があります。対象は65歳以上で、老齢年金が年18万円以上の人です(日本年金機構)。金額は前年の所得をもとに、自治体が決めます。
所得割の税率は10%が標準で、基礎控除は43万円です(総務省)。夫の年金所得が約105万円なら、基礎控除と社会保険料控除を引いた課税所得は40万円前後。
税額は年4万円前後が上限の目安で、各種の控除でさらに下がる場合があります。妻の基礎年金は、住民税が非課税になる限度(単身・65歳以上で年155万円など、日本年金機構)に収まる水準です。
定年直後は、現役最後の年の給与にかかる住民税が、退職後にも請求されます。住民税は前年の所得で決まるためです。
納付書が届くのは例年6月ごろです。退職後の最初の1年は、手取りがさらに減ります。
年金から差し引かれる医療保険料
65歳から74歳の間は、国民健康保険などの保険料を払います。年金が年18万円以上で、介護保険料が年金から天引きされている人は、国保の保険料も年金から引かれる場合があります(日本年金機構)。75歳になると、後期高齢者医療制度に移ります。
保険料は、自治体と所得で大きく変わります。一例が、新宿区の令和8年度の概算早見表(軽減前)です。65歳以上で年金収入200万円なら月9,733円、210万円なら月10,615円。
年金収入が80万〜100万円の人は、均等割のみの月5,589円です。夫が年215万円、妻が基礎年金のみの夫婦なら、軽減前で年約20万円。実際の額は、低所得世帯への軽減や自治体の料率で変わります。
退職後は、会社の健康保険の任意継続も選べます。退職日の翌日から20日以内に申し出て、期間は最長2年。
保険料は全額自己負担で、標準報酬月額の上限は令和8年度で32万円です(協会けんぽ)。国民健康保険と見比べて、安いほうを選びましょう。
年金から差し引かれる介護保険料
65歳以上は、介護保険の第1号被保険者として、保険料を払います。
厚生労働省の発表では、令和6〜8年度の全国平均の基準額は月6,225円。最高は大阪市の月9,249円、最低は東京都小笠原村の月3,374円で、自治体の差は2.7倍にも開きます。保険料は所得に応じて段階が分かれ、基準額より高くなる人もいます。
夫婦ともに65歳以上なら2人分です。全国平均の基準額で単純に2倍すると、月12,450円、年約15万円。所得の段階によっては、これを上回ります。
4つの項目は、どれも自治体で金額が変わります。正確な手取りは、年金振込通知書と、自治体から届く納入通知書で確かめるしかありません。
数字を見るのは、年に一度の通知書が届く時期で十分です。まずは自分の通知書を手元に出してみましょう。
夫婦で年金月25万円なら生活できる?老後の生活費をシミュレーション
月25万円で足りるかどうかは、手取りと生活費の差で決まります。ここでは手取りを約21万円と置き、生活費が月20万円、25万円、30万円の3パターンで計算します。
前の章の試算(21万〜22万円前後)の低いほうを使った、余裕を見た仮定です。実際の手取りは自治体と年金の内訳で変わります。
実態の比較には、総務省統計局の家計調査(2025年)も使います。65歳以上の夫婦のみの無職世帯は、収入が月254,395円、消費支出が月263,979円でした。
| 項目(月平均) | 金額 |
|---|---|
| 食料 | 78,964円 |
| 交通・通信 | 31,325円 |
| 教養娯楽 | 26,538円 |
| 光熱・水道 | 23,540円 |
| 保健医療 | 17,941円 |
| 住居 | 17,739円 |
| 家具・被服・その他 | 67,932円 |
| 消費支出 計 | 263,979円 |
出典:総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年平均結果の概要」表2。
生活費の3パターンと、夫が亡くなった後の妻の年金を、次の4つで確認します。
- 生活費が月20万円の場合
- 生活費が月25万円の場合
- 生活費が月30万円の場合
- 夫が先に亡くなった場合の妻の年金額
生活費が月20万円の場合
手取り約21万円に対して、生活費が月20万円なら、月1万円の黒字です。年間で12万円、20年続けても240万円にとどまります。
家計調査の平均の消費支出と比べると、月20万円は約6.4万円低い水準です。食料や交通・通信など、平均的な項目を抑える必要があります。
黒字といっても、余裕は小さいままです。医療や介護、住宅の修繕のような大きな支出は、年金の黒字だけでは賄えません。屋根や外壁の工事が一度入れば、数年分の黒字が消えます。
この水準を目指すなら、貯蓄や退職金は取り崩さず、医療や修繕といった特別な支出の備えとして残す使い方が合います。守りの家計です。
生活費が月25万円の場合
生活費が月25万円なら、手取り約21万円との差で、月4万円の不足です。年間48万円。65歳から90歳までの25年で、約1,200万円が必要な計算です。
家計調査の平均を見ると、夫婦のみの無職世帯の月の不足額は約4.2万円でした。可処分所得の221,544円と、消費支出の263,979円との差です。仮定の月4万円と、ほぼ重なる数字です。
「年金が25万円だから、25万円使える」と考えると、見誤ります。使えるのは手取りで、税金や保険料は生活費と別に出ていきます。貯蓄が1,200万円あれば、25年は持つ計算です。
ただし、医療・介護、住宅の修繕などの特別な支出は、これとは別に見込む必要があります。実際に必要な貯蓄は、この金額を上回ります。
| 貯蓄額 | 月4万円の不足で持つ年数 |
|---|---|
| 1,000万円 | 約20.8年 |
| 1,500万円 | 約31.3年 |
| 2,000万円 | 約41.7年 |
試算:貯蓄額÷(月4万円×12か月)。運用益と物価上昇は考慮しない。
生活費が月30万円の場合
生活費が月30万円なら、手取り約21万円との差で、月9万円の不足です。年間108万円で、25年なら約2,700万円です。
家計調査の平均の支出は、消費支出が263,979円。非消費支出は、収入と可処分所得の差から約32,851円と分かります。
合計の約29.7万円は、税金と保険料を含めた平均的な出費です。月30万円は、これと同じ水準に並びます。
不足が大きいと、退職金や貯蓄の取り崩しが前提です。貯蓄が1,500万円なら、月9万円の不足で約13.9年で尽きます。80歳を迎える前に底をつく人もいます。
旅行や趣味に使う暮らしを望むなら、年金だけでは足りません。上乗せを作るか、生活費の水準を下げるか。定年前の今のうちに、夫婦で方向を決めておきたいところです。
夫が先に亡くなった場合の妻の年金額
夫婦2人の生活費は、いずれ1人分に縮みます。夫が先に亡くなった場合の、専業主婦の妻の年金額が気になるところです。
夫が亡くなると、夫の老齢厚生年金は終わり、妻に遺族厚生年金が支給されます。金額は、原則として夫の老齢厚生年金(報酬比例部分)の4分の3です。妻自身の老齢基礎年金(満額で月70,608円)は、そのまま受け取れます。
月25万円の夫婦で試算します。夫の報酬比例部分が月約10.9万円なら、遺族厚生年金は約8.2万円。妻の基礎年金を足すと、月約15.2万円です。
前提は、妻に自分の厚生年金がないこと。夫婦で月25万円だった世帯が、妻1人で約15万円に下がります。家賃や光熱費など、世帯の固定費は、夫の死後も大きく減りません。
夫婦のうちに、妻1人の年金で暮らせるかを試算しておきたいところです。見落としやすい論点です。
妻が65歳未満の間は、中高齢寡婦加算がつく場合があります。遺族年金は制度の見直しが続いており、対象や期間は変わる可能性があります。受給の条件は、日本年金機構の最新の案内で確認してください。
夫婦で年金月25万円の老後生活に備える4つの対策
不足を埋める道は3つしかありません。収入を増やすか、支出を減らすか、資産を取り崩すかです。4つの対策を、効果が出るまでの早さ順に並べます。
対策は、次の4つです。
- 固定費を見直して生活費を削減する
- 定年後も働いて収入を確保する
- 年金を繰下げ受給して受給額を増やす
- 退職金や預貯金で生活費の不足分を補う
固定費を見直して生活費を削減する
最初に手をつけるのは、毎月かかる固定費です。一度見直せば、翌月から効果が続きます。即効性があります。
家計調査の平均では、夫婦のみの無職世帯の消費支出は月263,979円。内訳の大きい項目から並べると、食料78,964円、交通・通信31,325円、教養娯楽26,538円、光熱・水道23,540円です。
通信費や保険料は、契約を見直すだけで下がります。食料は日々の工夫が必要で、続けにくい項目です。
月4万円の不足を支出の削減だけで埋めるなら、消費支出の約15%を減らす計算です(4万円÷263,979円)。削れる金額は世帯ごとに違います。まず家計簿で自分たちの数字を出し、削りやすい項目から手を付けましょう。
定年後も働いて収入を確保する
不足額を補う最も確実な方法は、働いて収入を得ることです。月4万円の不足なら、月に4万円稼げば埋まります。
気になるのは、働くと年金が減る在職老齢年金です。令和8年4月から、年金が減る基準額は月51万円から65万円に引き上げられました。賃金(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の月額の合計が65万円を超えると、超えた額の半分が停止されます。
老齢基礎年金は停止の対象外です。夫の老齢厚生年金が月約10.9万円なら、賃金が月約54万円を超えない限り、年金は減らずに済みます。再雇用や嘱託の賃金で月54万円を超える人は多くありません。
今の50代後半の男性は、原則として65歳から年金が始まります。60歳で定年を迎えても、65歳までは年金が出ない期間があります。この間の収入が、老後の資金計画の最初の課題です。
年金を繰下げ受給して受給額を増やす
繰下げ受給は、年金を受け取る時期を65歳より遅らせ、増額する制度です。
増額率は、繰り下げた月数に0.7%を掛けた率で、最大84%(75歳まで)。66歳で8.4%、70歳で42%、75歳で84%増えます。
| 受給開始 | 増額率 |
|---|---|
| 66歳 | 8.4% |
| 68歳 | 25.2% |
| 70歳 | 42% |
| 75歳 | 84% |
出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」。
額面ベースの損益分岐点は、繰下げ開始から約142か月(約11年11か月)後です。70歳から受け取るなら、81歳11か月以降で、65歳開始の累計額を上回ります。この試算に、税金や保険料は含めていません。
注意点が2つあります。繰下げ待機中は、加給年金と振替加算を受け取れません。そして、繰り下げた期間は、年金なしで暮らす必要があります。
妻が65歳未満の間は、夫に加給年金がつきます。夫が繰下げを選ぶと、この間の加給年金は受け取れません。繰下げで得る増額と、失う加給年金を、見込額で比べてから決めましょう。
退職金や預貯金で生活費の不足分を補う
収入を増やし、支出を減らしてもなお足りない分は、退職金や預貯金を取り崩して補います。
必要な額は、不足額×年数で計算できます。25年(65歳から90歳)の場合、月2万円の不足で600万円、月4万円で1,200万円、月9万円で2,700万円です。
手持ちの資産が必要額に足りるかを、先に確かめておくのが手順です。足りなければ、ここまでの3つの対策を組み合わせて、不足額そのものを小さくします。
退職金は、勤続年数に応じた退職所得控除があり、受け取り方によって税負担が軽くなる仕組みです。一時金で受け取るか、分割で受け取るかで、手取りが変わります。会社の退職金規程と、国税庁の案内で確認しましょう。
運用には元本割れのリスクがあります。数年以内に使う生活費は預貯金で確保し、使う時期が先の資金だけを回したいところです。
まとめ|夫婦で年金月25万円なら手取り額と生活費を比較して老後に備えよう
夫婦で年金月25万円は、令和8年度の標準的な年金額(237,279円)より約1.3万円多い金額です。ただし、平均的な高齢夫婦の収入(月254,395円)とほぼ同水準で、突出して余裕があるわけではありません。
見るべきは、額面ではなく手取りです。税金と保険料が引かれた手取りと、生活費との差が、必要な資金を決めます。手取りを約21万円と仮定すると、生活費が月25万円で月4万円の不足、月30万円なら月9万円の不足です。
次の行動は3つです。ねんきん定期便で見込額の内訳を確認する。年金振込通知書で手取りを確かめる。
そのうえで、貯蓄と退職金が何年分の不足を賄えるかを計算し、足りない分の対策を決める。
夫が先に亡くなった後の妻の年金も、夫婦で話しておきたいところです。月25万円は、妻1人になると約15万円にまで下がりうるのです。数字は早めに共有しておきましょう。
