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退職金運用の失敗談4選!老後資金を守るための対策とおすすめの運用方法

退職金 運用 失敗

退職金を受け取る時期が近づくと、そのお金をどう扱うかで迷う人は多いはずです。周りが運用を始める一方、ネットには退職金を減らしたという体験談もあります。金融機関に勧められた商品を信じてよいのかも、判断しにくいところです。

焦って決めると、生活費に必要なお金まで運用に回してしまうことがあります。ここでは、起きやすい失敗談と共通する原因、守るための対策を整理します。

預貯金・個人向け国債・投資信託の特徴は、表にして並べました。運用しない判断も含めて、自分の方針を決める材料にしてください。

目次

退職金の運用でよくある失敗談4選

退職金の運用で起きる失敗には、決まった型があります。ここでは、よくある流れを4つの例にまとめました。実在の個人の話ではなく、典型的な経緯を一般化したものです。

4つの例は、次のとおりです。

  1. 退職金を株式に一括投資し、暴落で資産が大きく目減りした
  2. 銀行に勧められるまま投資信託を購入し、想定外の損失を出した
  3. 高利回りを期待してリスクの高い商品に投資し、資産を減らした
  4. 生活費まで投資に回し、値下がりしたタイミングで売却せざるを得なくなった

それぞれの流れを順に見ていきましょう。

退職金を株式に一括投資し、暴落で資産が大きく目減りした

最初の例は、受け取った退職金を一度に株式へ入れたケースです。

定年を機に「増やすなら今」と考え、全額を株式に投じます。ところが購入の直後に相場が下がり、評価額は目減りの一途です。

毎日の値動きを見るうちに不安が膨らみ、耐えきれずに売ってしまいます。下落のあとで売れば、損失はそのまま確定します。

問題は、株式を選んだことより、一度に入れたことです。購入のタイミングが1回に集中すると、その日の価格が結果の大半を決めます。

しかも60歳前後は、値下がりを待てる時間が現役世代より短い点も見逃せません。再雇用で収入が下がっていれば、売らずに耐える余裕も小さくなります。

「長く持てば戻る」という説明を聞いたことがある人もいます。戻る保証はどこにもありません。取り崩しが始まる時期の下落は、回復を待つ間にも資産を削ります。購入時期を分ける考え方は、後半の対策で扱います。

銀行に勧められるまま投資信託を購入し、想定外の損失を出した

2つ目は、金融機関の窓口で勧められた投資信託を、その場で買ったケースです。

退職金の入金後、定期預金の相談で銀行へ行きます。話の流れで投資信託を勧められ、「皆さん入れています」と言われて契約します。数か月後、基準価額は下がり、預けたときより評価額が減っているのです。

「元本が減るとは聞いていない」。そう感じたのは、このときです。

国民生活センターには、投資信託について、リスクの説明が不十分だったと思われる相談が寄せられています。定期預金の話で呼び出され、投資信託を勧められたという事例も紹介されています。

窓口の提案が常に不適切だという意味ではありません。勧誘のしかたで、受け手の理解が大きく変わるということです。

投資信託は預貯金と違い、元本の保証がない商品です。この一点を自分の言葉で言えない状態では、契約してはいけません。

勧められたら、その場で決めないでください。資料を持ち帰り、家族に見せます。判断の材料は、次の3つに絞れます。

  • 元本が保証されているか
  • 購入時や保有中にかかる費用の種類と金額
  • 自分の目的に合っている理由

契約後に困ったときの相談先は、消費者ホットライン188です。

高利回りを期待してリスクの高い商品に投資し、資産を減らした

3つ目は、利回りの高さにひかれて商品を選んだケースです。

現役時代より収入が減ります。だから退職金は少しでも増やしたい。そう考えると、「年10%」「元本保証で高利回り」といった言葉が目に入ります。

国民生活センターは2024年1月、SNSの投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引のトラブルを公表しました。紹介された事例の一つが、退職金の運用を学ぶつもりで参加した60歳代の男性です。

出金しようとすると税金の名目で追加の送金を求められ、結局お金は戻りませんでした。助言として、振込先に個人名義の口座を指定された場合は、絶対に振り込まないよう呼びかけています。

詐欺でなくても、高い利回りは高いリスクの裏返しです。暗号資産、不動産、高配当株などに集中して投資し、値下がりや空室で収入が見込めなくなる例も、上位の解説記事は挙げています。

これらの商品が一括りに危険だと言いたいわけではありません。仕組みを理解しないまま、退職金の大きな部分を入れることが問題なのです。見分ける合図は3つあります。

  • 「必ず」「元本保証で高利回り」と言い切る
  • SNSやマッチングアプリなど、金融機関の窓口以外から誘われる
  • 個人名義の口座への振込を求められる

どれか一つでも当てはまれば、その場で契約や送金をしないでください。

国民生活センターは2026年9月にも、SNSで著名人が勧める「もうかる方法」に関する金融商品・サービスのトラブルへの注意を呼びかけました。誘いの入口は変わっても、構図は同じです。

不審に思った時点で、消費者ホットライン188に相談できます。一人で抱え込み、送金を重ねる前に連絡するのが先です。

生活費まで投資に回し、値下がりしたタイミングで売却せざるを得なくなった

4つ目は、当面の生活費にあたるお金まで運用に入れたケースです。

退職金の大半を投資信託に入れます。再雇用の給料だけでは月々の支出に足りず、生活費を投資分から引き出します。

ちょうどそのとき相場が下がっていて、評価額が減った状態で売るしかありません。損失は確定です。

65歳で年金が始まるまでは、再雇用の収入が現役時代より下がる期間があります。この間の不足分を退職金から出す前提なら、運用に回せる額はその分だけ少なくなります。

総務省統計局の家計調査(2024年)では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得より消費支出が多い状態です。実収入は月252,818円、消費支出は256,521円でした。

可処分所得は222,462円で、消費支出との差は約3.4万円です。毎月の不足が積み重なると、取り崩す金額は想像より大きくなります。

売る時期を自分で選べないことが、この失敗の本質です。生活費の分を運用から外しておけば、値下がりしても売らずに済みます。

退職金の運用で失敗する人に共通する3つの原因

4つの例は、それぞれ違う場面で起きています。ただ、原因をたどると、重なる部分が見えてきたはずです。

共通する原因は、次の3つです。

  1. 運用する目的や期間を決めていない
  2. 金融商品のリスクや手数料を十分に理解していない
  3. 退職後の生活費を考慮せずに投資額を決めている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

運用する目的や期間を決めていない

1つ目の原因は、何のために運用するのか決めていないことです。

目的が曖昧だと、商品を選ぶ基準も、売る・持つの判断基準もありません。値下がりしたときに「待つべきか、売るべきか」を決める軸がなくなります。

目的とは、何に使うか、いつ使うかの2点です。65歳までの生活費なのか、老後の生活費なのか、万一の備えなのか。使う時期が近いお金と、長く置けるお金では、選ぶ商品が変わります。

上位の解説記事も、運用の前に使い道を整理することを準備の第一歩に挙げています。この順番を逆にして、先に商品から選ぶ人は少なくありません。

金融商品のリスクや手数料を十分に理解していない

2つ目は、商品の仕組みと費用を知らないまま買うことです。

投資信託は基準価額が日々動き、元本は保証されません。購入時にかかる手数料や、保有中に差し引かれる費用は、商品ごとに違います。費用の内訳は目論見書で確認できます。

値下がりしたときに「聞いていなかった」と感じる人は、買う前にリスクと費用を自分の目で確かめていない点が共通点です。窓口の説明を聞いただけでは、確かめたことになりません。確認する項目は決まっています。

  • 元本保証の有無
  • 費用の種類
  • 過去の値動きの幅

この3つを目論見書で見ます。読んでも分からない部分は、その場で聞くか、持ち帰って調べてください。

退職後の生活費を考慮せずに投資額を決めている

3つ目は、投資額を「増やしたい額」から決めてしまう点にあります。

順番は逆です。先に決めるのは、退職後に毎月いくら足りなくなるかです。

その不足を何年ぶん退職金から出すのかが分かれば、手元に残しておくお金が決まります。残りが、運用に回せる候補です。

この逆算を飛ばすと、4つ目の失敗談のように、生活費の分まで投資に入ってしまいます。具体的な手順は、次の対策のとおりです。

退職金の運用で失敗しないための4つの対策

原因が分かれば、対策も絞れます。収支を知る、資金を分ける、上限を決める、分散する。この順で進めます。

対策は、次の4つです。

  1. 年金収入や生活費をもとに老後の収支を把握する
  2. 退職金を使う時期に応じて資金を分ける
  3. 運用に回す金額と許容できる損失額を決める
  4. 投資先や購入時期を分散してリスクを抑える

ひとつずつ手順を確認しましょう。

年金収入や生活費をもとに老後の収支を把握する

最初にやるのは、入るお金と出るお金を数字にすることです。

年金は、ねんきん定期便で見込み額を確認します。生活費は、いまの家計をもとに退職後の金額を見積もります。差額が毎月の不足で、退職金から取り崩す額の目安です。

計算は2つの期間に分けます。

  • 再雇用で働く65歳まで
  • 年金が始まる65歳以降

どちらの期間も、夫婦で一緒に数字を出してください。家計調査の平均は参考にはなりますが、自分の家計とは別物です。住居費の有無や子どもの支援で、金額は大きく変わります。

年金への依存度も、頭に入れておきたいところです。総務省統計局の全国家計構造調査(2024年)によると、世帯主が無職の夫婦高齢者世帯の実収入は月271,665円です。公的年金などの社会保障給付は247,574円でした。

実収入に占める割合は91.1%にのぼります。収入の大半が年金なら、退職金の運用で生活の土台を揺らすわけにはいきません。

なお、この調査と先に挙げた家計調査は、設計も集計の対象も異なります。数字を並べて比べるのではなく、それぞれ別の目安として見てください。不足額が見えれば、「いくらまでなら運用に回せるか」を考える土台ができます。

退職金を使う時期に応じて資金を分ける

次は、退職金を使う時期ごとに分けることです。考え方は3層です。

  • 近い時期に使う資金:数年以内の生活費や、一時的な出費
  • 数年後に使う資金:65歳以降の不足の補填など
  • 長く置ける資金:すぐには使わない分

近い時期に使うお金は、値動きのある商品に入れません。預貯金など、元本が減りにくいものに置きます。運用の候補になるのは、長く置ける資金だけです。

分け方に正解の年数はありません。収支の見通しに合わせて決めます。商品ごとの特徴は、このあとの章の話です。

運用に回す金額と許容できる損失額を決める

運用に回せる資金が見えたら、その中でさらに上限を決めます。

許容できる損失とは、下がっても生活が変わらない額のことです。評価額が2割減っても暮らしに影響が出ないか、自分に問いかけてみてください。2割は考えるための例にすぎず、基準として使うものではありません。

金額を先に決めておくと、値下がりの場面で慌てて売らずに済みます。投資経験が少ないなら、最初から大きく入れないことです。少額から始めて、値動きに慣れてから増やす方法もあります。

決め方の手順は、次の3段階で足ります。

  1. 3つの層に分けたうち、「長く置ける資金」の総額を出す。
  2. そのうち、下がっても暮らしが変わらない範囲を、金額で書き出す。
  3. 書き出した額を上限とし、家族にも共有しておく。

上限を紙に書いておくと、相場が荒れた日に判断がぶれません。窓口で「もう少し増やしませんか」と言われても、断る根拠として使えます。

投資先や購入時期を分散してリスクを抑える

最後は、分散です。分散には2種類あります。

種類内容効果
時間の分散購入を数回に分ける一度の価格に結果が左右されにくくなる
資産の分散値動きの異なる資産を組み合わせる一つが下がっても全体への影響が小さくなる

1つ目の失敗談のように一度に買うと、その日の価格が結果を左右しがちです。複数回に分ければ、価格の変動が平均化されます。分散しても、損失がなくなるわけではありません。リスクを抑える手段であり、守りを保証する仕組みではないのです。

退職金の運用方法は何がいい?初心者が検討したい3つの選択肢

ここまでの対策を踏まえて、初心者が検討しやすい3つの選択肢を見ていきます。3つの違いは、次のとおりです。

項目預貯金個人向け国債投資信託(NISA)
元本預金保険の範囲内で保護元本割れしない保証されない
増えやすさ低い低い高くなりうる
向く資金近い時期に使う資金数年後に使う資金長く置ける資金

運用しないという判断も、選択肢の一つです。年金と預貯金で生活費が足りる家計なら、無理に動かさなくてもかまいません。

選択肢は、次の3つに整理できます。

  1. 預貯金|元本割れを避けて退職金を管理する
  2. 個人向け国債|元本の安全性を重視して運用する
  3. 投資信託|NISAを活用して長期・分散投資をする

それぞれの特徴を見ていきましょう。

預貯金|元本割れを避けて退職金を管理する

預貯金は、元本が減りにくい置き場所です。

預金保険機構によると、利息のつく預金は、1金融機関ごと・預金者1人あたり元本1,000万円までと、破綻日までの利息等が保護されます。同じ金融機関に複数の口座があっても、合算で数えます。

2,000万円を預けるなら、預け先を分けることを検討したいところです。利息のつかない決済用預金は、全額が保護されます。

外貨預金や譲渡性預金は、保護の対象外です。1,000万円を超えた部分は、金融機関の財産の状況に応じて支払われるため、一部がカットされる可能性があります。

金融機関が合併した場合は、その後1年間に限り、上限が「1,000万円×合併に関わった金融機関の数」に広がる特例もあります。ただし、これは一時的な措置にすぎません。普段の預け先を考える基準は、1金融機関あたり1,000万円です。

退職金専用の定期預金には、金利が期間限定のものがあります。優遇の期間と、期間が終わったあとの金利を、申し込む前に金融機関へ確認してください。

弱点は、物価が上がると預金の価値が目減りしうることです。それでも、近い時期に使う資金の置き場所としては適しています。

個人向け国債|元本の安全性を重視して運用する

個人向け国債は、国が元本と利子の支払いに責任を持ちます。そのため、元本割れしません。種類は3つあります。

  • 変動10年:半年ごとに金利が見直される
  • 固定5年:満期まで金利が変わらない
  • 固定3年:満期まで金利が変わらない

発行から1年が過ぎれば、原則として中途換金できます。ただし、換金時には直前2回分の利子(税引前)相当額が差し引かれる点に注意が必要です。

使う時期に合わせて、満期を選びます。数年後に使う資金なら、固定3年や固定5年が候補です。現在の適用利率は毎月変わるため、購入前に財務省のページで確認してください。

金利の決まり方は、種類ごとに違うのが実情です。変動10年は基準金利に0.66を掛けた利率で、半年ごとに見直されます。固定5年は基準金利から0.05%、固定3年は0.03%を引いた利率が満期まで続きます。

いずれも年0.05%の最低金利が保証されている点は共通です。変動10年は、金利の変化が反映される点も特徴です。1万円から買えるので、全額を一度に入れず、毎月の発行に合わせて分ける買い方もできます。

投資信託|NISAを活用して長期・分散投資をする

投資信託は、長く置ける資金の運用先として検討できます。

新NISAでは、投資で得た利益に税金がかかりません。年間の投資枠は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円で、併用した場合の上限は最大360万円です。生涯の非課税保有限度額は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円までです。

非課税の期間に期限はありません。売却すれば、売った分の枠は翌年以降に復活します。

NISAでも、元本は保証されません。値下がりすれば損失が出ます。税金がかからないことと、損をしないことは別の話です。

年間の上限があるため、2,000万円を一度に入れることはできません。結果として、購入時期が分かれる形です。長く置ける資金の範囲で、少しずつ積み上げる使い方に向いています。

口座の使い方にも決まりがあるのです。NISA口座は1人につき1口座だけ開設できます。金融機関の変更は年単位で可能ですが、手続きの手間はかかります。

窓口で勧められた商品が、そのまま自分の枠の使い方に合うとは限りません。口座を開く前に、どちらの枠で何を買うのかを自分で決めておきたいところです。

まとめ|退職金運用の失敗事例を参考に、老後資金を守れる運用方法を選ぼう

退職金の運用で起きる失敗には、型があります。一括投資、勧められるままの契約、高利回りへの飛びつき、生活費の投資です。共通する原因は、目的を決めていない、リスクと費用を知らない、生活費から逆算していない、の3つでした。対策は、収支を把握し、資金を使う時期で分け、運用額と許容損失を決め、分散することです。

商品は、使う時期に合わせて選びます。近い資金は預貯金、数年後の資金は個人向け国債、長く置ける資金は投資信託とNISAです。運用しない判断も、選択肢に入ります。

まずは、毎月の不足額を数字にするところから始めましょう。それが分かれば、運用に回せる金額も見えてきます。迷ったら、金融機関の窓口で決めず、家族と相談してから結論を出してください。

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この記事を書いた人

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種資格保有。金融・保険・年金・税金・不動産分野を中心に、これまで1,000本以上の記事を執筆。金融記事の監修や編集にも携わり、公的機関の資料や一次情報をもとに、専門的な制度や仕組みをわかりやすく解説しています。

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